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2025.6.26

「可能性を増やす人を増やす」シリーズCで27億円調達のHAKKI AFRICA―3カ国展開で証明したグローバルサウス金融革命

47カ国のバックパッカー体験から始まったHAKKI AFRICA創業ストーリー。「事前調査はほぼゼロでいい、仮説は立てずに飛び出せ」と語る小林CEOは、銀行ローンにアクセスできないケニアで中古車マイクロファイナンス事業を立ち上げ、市場シェアを獲得。「小さな失敗を高速で回す」グロースハック戦略で3カ国展開を実現し、シリーズC27億円を調達。PMF達成後のスケーラビリティを武器に、2037年年商1000億円を目標に設定する緻密な計算力と、「日本全員で勝っていく」という熱いビジョンを持つ起業家の全貌。

47カ国のバックパッカーからケニア起業へ―HAKKI AFRICA小林CEO、シリーズC27億円調達

GCP深川)今回はシリーズCで27億円の資金調達を発表されたHAKKI AFRICA社の小林さんにお話を伺います。小林さんは現在インドにお住まいということですが、インドでの生活はいかがでしょうか。


小林氏)インドは本当に面白いですね。まるで旅人になったような気分で、毎日全く新しいことが起こります。

実は安全面で言えば、インドの方がケニアより安全です。ただ、過ごしやすさという点では、ケニアの方が断然良かったですね。特に気温の差が大きくて、ケニアは年間を通して20度前後で安定しているのに対し、インドは25度から30度が通常の気温なので、暑いんです。


GCP深川)これから夏に向けてさらに厳しい季節が来ると思いますので、お体にはくれぐれもお気をつけください。

それでは、HAKKI AFRICAについて詳しくお聞かせください。小林さんの経歴と併せて、なぜケニアでオートローン事業を始めようと思われたのか、創業の経緯を教えていただけますでしょうか。


小林氏)もともと学生起業という形でスタートしました。2012年当時は、まだSEOがハックできた時代でして、被リンクの数を増やすなど、様々なマーケティング手法を使ってクライアント企業のホームページを検索上位に表示させる事業から始めました。

その事業とEコマース事業を含めて、すぐに売却しました。その後、2013年からシェアハウス事業とコワーキングスペース事業を手掛け、こちらも5年でエグジットしました。

しばらく時間が空いた後、2018年にたまたまアフリカに行く機会があり、そこからHAKKI AFRICAを創業することになりました。


GCP深川)これまでSEOやシェアハウス事業をされていて、その後ケニアでオートローン事業というのは、かなり大きな転換だと思うのですが、どういう旅の結果だったのでしょうか?


小林氏)実は、最初の学生起業の前に1年間休学して、バックパッカーをしていた経験があります。11ヶ月で47カ国を回りました。

1ヶ月で47カ国というと、かなりのスピードですよね。長いところで2週間、短いところだと本当に4日ぐらいで駆け抜けるような感じでした。ただ、例えば中南米などは国がギュッと密集しているので、実際3日で十分だったりするんです。南アフリカなどアフリカ系の国も同様で、1週間以上いても新しい体験はあまりないので、それで十分でした。


「可能性を増やす人を増やす」―銀行ローンなき国で中古車ファイナンス革命を起こした起業家

GCP深川)そうした経験を経て、ケニアでHAKKI AFRICAを立ち上げられたわけですが、会社のミッションについて教えていただけますか?


小林氏)「可能性を増やす人を増やす」というミッションを掲げています。もともとシェアハウスやコワーキングスペースの事業では「可能性を増やす」というシンプルな形でやっていました。

ただ、その時に自分の限界を感じたんです。顧客数でいうと150人ぐらいしか扱えなくて、自分一人でできる範囲には限りがあると痛感しました。

そこで、自分のフィロソフィーを次の人にバトンパスして、その人がアンバサダーになって次世代に受け継がれていく仕組みが必要だと思ったんです。「可能性を増やす」から一つレイヤーを下げて、自分が全てに関わらなくても、教育のように徐々に多くの人に浸透していく形で、このミッションが伝わればいいなと考えました。それがきっかけですね。


GCP深川)具体的な事業内容についても伺いたいのですが、シンプルに言うと「車を持てる人を増やす」、そして「車をビジネスの手段として稼げる人を増やす」事業をされているということですよね。どのような課題を解決し、どんなビジネスモデルで取り組まれているのでしょうか。


小林氏)簡単に言うと、ケニアで中古車マイクロファイナンスを始めました。日本の方には想像しにくいかもしれませんが、ケニアでは法人である当社も含めて、ほぼ全ての人が、銀行のローンにアクセスできないという大きな課題があります。そのため、車を持つことができません。何が起きるかというと、まずタクシー会社というものが存在しないんです。だから皆さん、自分でギグワーカーとして働き始めます。例えば、UberやBoltといったライドシェアアプリに登録して、自分で稼ぎを出すという形になります。

ただ、レンタカー会社のようなものも存在しないので、お金持ちの方から車を借りて運転することになります。しかし、その車は一生自分のものにならない。これが大きな課題でした。そこに対して、私たちがソリューションを提供しています。


GCP深川)ビジネスモデルはどのような仕組みになっているのでしょうか。


小林氏)ケニアでは金利収入という形になっています。まず、お客様に車を自分で見つけてきていただきます。そこに対して、私たちがクレジットスコアリングをかけて、その車を買えるかどうかを判断します。審査を通過すれば、私たちがローンを提供し、お客様には毎月のリペイメントとして36ヶ月から48ヶ月程度で返済していただくという仕組みです。


GCP深川)金利部分が収益になるということですね。それを適切にリスク管理できるオペレーションを、ケニアでゼロから構築されてきたということですが、現在は様々な国に展開され、プロダクトラインも拡充されていると思います。また、調達額もかなりの規模になっていますが、現在シェアできる範囲でのKPIや事業状況を教えていただけますか。


小林氏)国で言うと、2018年にケニアで始めて、かなり時間が経ち、2024年、去年にようやく国展開として南アフリカとインドに展開することができました。

まだ立ち上げから5ヶ月程度しか経っていないので、大きなトラクションとは言えませんが、もともと想定していたリペイメントレート(返済率)が約92%だったのに対し、南アフリカでは91%、インドでは94%のオンタイムリペイメントレートを達成しています。思っていた以上に良い結果で、今のところのトラクションとして手応えを感じています。

GCP深川)現在はケニア、南アフリカ、インドで展開されていて、これから先はまだ秘密の部分もあると思いますが、他の国からも引き合いがあるという状況ですよね。


小林氏)はい、何カ国かは既に視察に行っていて、そこがうまくいけば、近いうちに展開できると考えています。

日本ではライドシェアと呼んでいる配車アプリですが、ワンタッチで車を呼べるサービスがあります。世界では、Uberが1位で、2位、3位、4位がDiDi、Uber、Grabで団子状態になっています。そのうちの一社がBoltです。このBoltとの提携が決まりました。彼らの主戦場はアフリカとヨーロッパなので、この地域をカバーするために提携したという形になります。


GCP深川)ケニアでは実質1位のポジションと言っていいと思いますが、特にタクシー向けのファイナンスで協業し、その成果をBoltもかなり評価してくれていて、様々なアグレッシブな話が来ているという状況ですよね。


小林氏)そうですね。市場シェアで言うと、ケニア単体では約65%のシェアがあります。ちょっと手前みそですが、HAKKIの名前を出すと、多くの方に知っていただいているという状況です。Boltが市場調査に行った際も、現地のBoltケニアメンバーから本社に「HAKKIという会社がある」と伝わり、それが提携のきっかけになったという話ですね。


GCP深川)HAKKIの認知度の話が出ましたが、私も投資検討の際に現地を訪問させていただきました。移動の際に基本的にBoltやUberを使うので、ドライバーの方20~25人ほどと話しましたが、ほぼ100%の認知度で驚きました。

HAKKIと関連があるとは名乗らず、他の競合も含めた評価を聞いても、やはり明確に「HAKKIが一番いい」と言う人がほとんどでした。数年で日本人がアフリカのケニアでこのような状況を作れているというのは、現地を見ないと言葉だけでは伝わらないと思いますが、本当に驚愕しました。

乗車のたびに「この車はいくらだったのか」「どこでファイナンスしているのか」「家族構成は」「一日いくら稼いでいるか」などを聞き続けていたのですが、みんなHAKKIを利用していて。これが今回投資させていただいた理由の一つとして、非常に大きかったですね。


小さな失敗を積み重ねるグローバルサウス展開論

GCP深川)事業展開の話を伺いましたが、ケニアで非常に強いポジションを築いているものの、現在はインドにも展開を始められています。ケニアから始めたことについて、振り返ってどう思われますか?正しい判断でしたか?


小林氏)もともと、金利キャップの問題が世界的に存在していて、この課題とのギャップが生じている状況でした。ケニアから始めたことが、一番クリティカルだったと思っています。

ただ、当時はそこまで深く考えていたわけではなく、これは偶然でしかありません。しかし、後から振り返ってみると、現在まさに金融規制が強まっている状況の前に始められたという点で、ケニアから始めて良かったと考えています。


GCP深川)創業から4年半程度での多国展開ですが、このタイミングは早かったでしょうか、遅かったでしょうか?


小林氏)今思えば、もう少し早くできたなとは思っています。当時はリソース不足で実現できませんでしたが、展開してから分かったことは、様々な法規制の影響で、インドも1年間かかったということです。

去年の4月頃に最初のタッチポイントがあり、ビジネストリップを3回ほど行ってから最終的に意思決定しましたが、ちょっと慎重にやり過ぎだったなと思います。

というのも、ライドシェアアプリ側からすると、多国展開している企業と組みたいという意向があります。また、市場自体がかなり伸びているので、早めに先行者優位で参入しておくのが良いと思っていて、そういう意味では少し遅かったと感じています。


GCP深川)ケニアで圧倒的なポジションを築いたことと、多国展開は表裏一体の関係があったかもしれませんね。逆に言うと、それがあるからこそ、私は正直、思っていたよりも一気に展開されているという印象です。

過去の振り返りもあって、リスクリターンがコントロールできる範囲で、PDCAを回しながら国とプロダクトのポートフォリオマネジメントをしていく姿勢を強く取られているなと、一緒にお仕事をしながら感じています。


小林氏)バジェッティングは確かに重要ですが、過去の経験を活かして小さな失敗を繰り返すというのが、グローバルサウスにおける勝ち筋だと思っています。統計が当てにならない市場だと思うので、そういう意味では失敗を繰り返すというのは、本当に良い戦略だと考えています。



「寿命があるから人は美しくなれる」―1分1秒を惜しんで生きる人生哲学


GCP深川)ここからは小林さん個人についてもお聞きしたいのですが、胆力というかエネルギーが、源がよく分からないけれど、非常に溢れている。「なぜこの人はこんなことができるんだろう」という、ある種非常に希少性の高い力だと思うんです。

正直なところ、ほとんど休まずに働かれていますよね。朝も夜も働いているし、この1ヶ月で何カ国行かれたのかと思うのですが、いかがでしょうか?


小林氏)この1ヶ月だと、ザンビア、南アフリカですかね。今はインドにいますし、日本にも行っていました。


GCP深川)エネルギーの塊すぎるなと思うのですが、朝も非常に早くから稼働されていますよね。


小林氏)朝の6時から7時頃には起きて、いろんなことを考えたり、始めたりしています。


GCP深川)そのエネルギーや力の源は何なのでしょうか?


小林氏)実は、自分自身を他と比較したことがなかったので、そんなに自分が特別だとは思っていないんです。言っていただけるのはありがたいことですが、自分が他の人より胆力があるとは思ったことがあまりなくて。

ただ、「人生に後悔したくない」という思いは強いですし、人生に限りがあるということを20歳頃に強く感じたんです。その時から1分1秒が惜しくなってしまったというのがあります。

最近は寿命を延ばすテクノロジーが発達していて、100歳以上まで生きられるという話もありますが、私の中では逆に、寿命があるから人は美しくなれるんだろうなと思っています。1分1秒を惜しんで生きるという方が、自分の生き方として合っているかなと思いますね。


GCP深川)家族や昔からの友人は、小林さんのことをどういう人だと言うでしょうか?


小林氏)祖母には「生き急ぐな、人生そんなに生き急いでいいことないぞ」と言われていました。年長者の言うことなので、1年ぐらいじっとしていたことがあるんですが、逆に緩やかな生活になってしまって。

やはりマグロみたいな感じで、動かないとやっていられないというところがあって、動いています。


GCP深川)組織も徐々に大きくなってきていますが、小林さんや創業者の時田さんのペースについてこられる、かなり希少な人材が多い気がしています。今後の組織拡大や中間のリーダー層が育つことについて、どう考えていらっしゃいますか?


小林氏)特に問題ないかなと思っています。幸いなことに、アフリカという市場は14億人近くいて54カ国ある中で、日系の起業家は10人ぐらいしかいません。その中で、現在はトップ1、2ぐらいには食い込んできていると思うので、優秀な人材、そもそも日本からアフリカを目指す人は、基本的に当社に問い合わせをするような状態になっています。

これは「育つ」という話ではないかもしれませんが、ヘッドハンティングはかなりしやすくなりましたし。採用もしやすくなったので、優秀な人材は十分に採用できると思っています。


GCP深川)組織のスピード感やパワーを緩めるのではなく、「アフリカに移住してまで挑戦したい」と思う人は、そういう胆力を持った人が多い。むしろ加速するので、ついてこられる人と一緒にやろうという感じですね。


小林氏)そもそも応募してくる時点でかなり胆力がありそうな方の中から、さらに優秀な方を選べるので、本当にチャンスだと思っています。



2037年年商1000億円への道筋―27億円調達で描く「日本人の闘争心に火をつける」壮大なビジョン


GCP深川)今回シリーズCで27億円を調達されていると思いますが、このラウンドの戦略や今後の事業展開の構想について教えてください。このラウンドはどういう意図で実施されたのでしょうか?


小林氏)やはり国展開が一番の目的でした。リスクマネーをなかなか生み出せない中で、調達しないと国展開に踏み出せない。ただ、自分の中では国展開をしっかり進めていかないといけない段階に来ていると思っていました。

アフリカ域内もそうですし、今回選んだインドのような別地域でも、そのトライアルのお金として、27億円をターゲットにしました。


GCP深川)事業の大きな構造を考えても、この先も大規模な資金調達が必要だと思いますが、IPOも含めて、資本政策をどう考えていらっしゃいますか?


小林氏)エクイティに関しては、リスクマネーとして、各国でのエコノミクスが合えば現地でも調達が可能というラインまで持っていくためのエクイティと考えています。

現在3カ国で展開していますが、各国において大体200台から500台程度行けば、十分に黒字化できるラインとなっています。そこまでエクイティで使っていって、その後は現地での調達に切り替えられると思っています。


GCP深川)今後の構想として、5年後のHAKKIのベースシナリオはどうでしょうか。


小林氏)5カ国から6カ国程度に展開していると思います。ただ、そんなに多くはないというのが自分の認識ですね。

もう少し先、ある程度上場した後に、アフリカ各国50カ国が存在するので、徐々に種まきを始めると思います。5年後というタイムラインで言うと、おそらく5カ国から6カ国程度、BSサイズでも500億円程度で考えています。


GCP深川)現在、国とプロダクトのポートフォリオマネジメントをうまく回されています。ケニアはゼロから作ったモデルで、アフリカ域内では1人当たりGDPも大きく経済規模も大きい。リスクリターンのコントロールの難しさはもちろんありますが、莫大な市場であるインドを含めて、どのようなポートフォリオ構成にしていくかトライされている状況ですね。20年後、HAKKIがどうなっていたら成功でしょうか?


小林氏)20年後だと2045年になりますね。私たちは2037年ぐらいをタイムラインに引いて、12年後を見ています。そこで目指しているのは年商1000億円です。

定性的には1つはもちろん「可能性を増やす人を増やす」というミッションですが、個人的な裏テーマとして「日本人の闘争心に再び火をつける」ということがあります。

政府の方針と法制度がまだ追いついていない部分がありますが、とにかく海外で勝てる起業家を増やさないと、どんどんシュリンクしていくだけなので、そこを指をくわえて待ってはいられないというのが、個人的な裏テーマですね。


GCP深川)2037年の1000億円は、なかなかの規模の数字ですが、4年前に立てた計画をほぼピタリと達成されていますよね。


小林氏)これも一応ロジックが存在していて、ケニアのGDPサイズが日本の1955年のGDPサイズとニアリーイコールで、成長率もピタリ一致しているんです。

その当時に創業した企業で、金融で言うとクレディセゾンやオリックスの創業年なんです。彼らのCAGRが大体15%程度なので、そこから逆算すると、定量的に1000億円という数字がはじき出されました。


GCP深川)非常にざっくりしているようで、背景がしっかりあったんですね。1000億円を具体的に想定している人はなかなかいないのではないでしょうか。しかもそれを今のところピタリとやっているのは、すごいですね。適当なようで本質的ですよね。そういう大きな流れや経済成長を捉えて計画を引くというのは。


小林氏)結局、彼らも同じような問題にぶち当たって、それを解決してきて、ようやく利益率が下がってきて、おそらく15%成長のようなところになるので、そこを織り込むのが必要なのかなと思っています。



4年前のメモが証明する先見性―「大げさに語らない」経営者の静かな説得力

GCP深川)私が今回投資させていただいた理由についても簡単にお話しさせていただきたいと思います。小林さんがどう思われるかも聞きたいのですが。

まず地政学的な観点があります。現在米中対立もありますし、アフリカは最後のフロンティア地域の一つです。ケニアでは日本企業の進出がかなり増えていて、中古車においては日本車のシェアが9割程度という状況ですね。

第三極としての日本、かつ世界の中で見ると資金が潤沢にある中で、これを新しく成長する国でどう活用するかという時に、「自動車×金融」という形での資金エクスポージャーを作っているところは、非常に良いと思っていました。


そして何より実績ですね。私、4年前にも一度お話しさせていただいたと思うのですが、その時の事業計画も手元のメモに残っていて、その後ずっとピタリで進んでいます。2037年の1000億円も多分ピタリで行くだろうと思っています。

小林さんは大げさに語らない方だなと思うのですが、逆に実績で確実に示していて、言った通りのことをやっている。しかも、これをケニアでやる。日本人でも別の場所ではなく、ケニアでやるというのは、希少性というか、畏怖すら感じる得体の知れない力のようなものがあります。

ベンチャーキャピタルは、もちろん自分が理解できるものに投資したくなるところもあるのですが、この希少性や畏怖を感じるほどのパワーに投資するべきだとも思っています。

小林さんが現地で作られたものを見させていただいても、100%正直理解できていないんです。なぜこんなことができたんだろうと。でも少なくともできているし、インドなども、できない理由は100個ぐらい考えられるのですが、「ケニアでこれができたなら」というのはやはり感じます。

実際にインドも、南アフリカも、私が正直思っていたよりもずっと立ち上がっていました。皆さんのすごさを改めて感じています。そこが今回投資させていただきたかったし、一緒に仲間として挑戦させていただきたいと思った理由です。


小林氏)非常に高く評価していただき、ありがたく思っています。ただ、私たちは現地でやっているということもあって、物理的な距離は確かにあると思うので、ある程度日本からは見えない部分があるかなと思っています。

できるだけ私たちとしても、例えば月次レポートなどで、日本にいる方にも分かりやすいように伝えているつもりなのですが、やはり100%伝わらないというのは理解していて、それも私たちの課題だと思っています。

もう少し、日本にいる方にもどういうところに強みがあって、キーファクターがあるのかというところが、伝わるように設計したいなと思っています。


GCP深川)少しでも良いなと思ったら、ぜひ見に来ていただきたいですね。私も夏頃にはインド、ケニア、南アフリカにまた行かせていただこうかなと思っています。


小林氏)海外に住んでいる人全員が、多分同じことを言われていると思うのですが、日本にいる時にインドに行く、ケニアに行くとかなり遠く感じるんです。でも、ケニアにいると、インドももう「明日行くか」ぐらいの感覚で行きますし、ケニアから日本に行くかと言ったら、「じゃあ1週間後には行くか」みたいな話になったりするので、やはり島国というところで、何か違うのかなと思いますね。


GCP深川)それは小林さんがちょっと特殊ですよね。ほぼ日帰りぐらいで日本に帰ってきたりして。


「日本全員で勝っていく」―グローバルサウス起業家が語る次世代への熱きメッセージ

GCP深川)今回調達もされましたし、この先もいくつか大きなマイルストーンがある中で、国展開や資本市場への対応も含めて、組織を大きくしていかないといけないと思います。会社のカルチャーとして、どういう会社なのか教えていただけますか。


小林氏)みんな独立心が高くて、一人ひとりがジェネラリストで、いろんな経験があります。金融バックグラウンド自体はそれほどないのですが、意外と幅広い知見を持って会社経営ができるような人が多いです。

なぜかというと、少人数でやる以上、意思決定をクリティカルに行うためには、幅広い知識が必要だったりするので、ある程度そういう文化が今のところあります。

今後は専門性を持った方々に入ってきていただきたいと思っているものの、ベースとして、オンボードした後に、ある程度私たちのジェネラルな知識のようなところは身につけていただきたいなと思っています。


あと、どんな人を採用したいかというところで言うと、今後リスクマネジメントやカントリーマネージャーが不足しているので、そこは採用していきたいと思っています。

性格面で言うと、今回いろんなYouTubeなどに出て、本当に社会意義が高いために、ケニアの貧困層を支援する形の会社だと思われている方が結構いるのですが、若干ずれがあります。

私たちはメディアで「貧困層」という言葉を一回も口にしたことがないんです。実際、私たちがターゲットにしているのは「低所得者層」の方々です。一般的な可処分所得よりも低い方になっているので、貧困層となるとかなり難しく、ある程度経済性も両立しないといけません。

そこの理解がある方で言うと、あまり思いが強すぎない方がいいと思っています。やはり戦略的にアフリカでやっているというところでしかないので。私たちが目指すビジョンも、もちろんアフリカでもっと可能性のある人を増やすということですが、ちょっとずれているようなところはホームページなどを見て、修正していただいた後に応募いただきたいなと思っています。


GCP深川)国とプロダクトでポートフォリオを組みながら、日本からも出て、他の地域も含めて、きちんと調達をして金利収入を得るようなモデルを組んでいるということは、もちろん社会的な意義もありますし、経済成長と完全に両立していくモデルなので、そこの理解や、その構造の中で「この国を自分が担当して、ミニ社長みたいな感じでやりたい」という気概がある方だとよいですね。大きな構想として、日本は資金の余力がある中で、明確にグローバルサウスがこれから成長していく。かつ、そこで自動車を持っているということは、生活の手段でもありますし、稼ぐ手段になるので、そこをうまく媒介できるというのは、本当に社会的インパクトが大きく、それ自体が経済性もあると思っています。それを一緒にできる胆力と独立心とパッションがある方がいたら、ぜひ小林さんに連絡いただきたいです。


最後に、日本のスタートアップの他の起業家の方や、グローバルサウスへの挑戦を考えている起業家や起業家候補の方も含めて、メッセージをいただけますか?


小林氏)まず海外に出た方がいいのは間違いありません。そして事業調査はほぼゼロでいいというのが、これは個人の反省なのですが、私は事業計画を練っていきましたが、全部間違っていました。日本の方がやはりガラパゴスであって、世界に出てから思ったことがあるので、仮説は立てずに飛び出してしまっていいかなと思っています。

ぜひそういう気概を持った起業家がいれば、やはり日本全員で勝っていくという世界観を私は目指しているので、一緒にやっていければなと思っています。


GCP深川)今回はHAKKI AFRICAの小林さんにお話を伺いました。ありがとうございました。

以上

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2025/06/28 13:57:42