RECRUIT

CAPITALIST INTERVIEW
ディレクター
渡邉 佑規
2015年 参画
VCは
自分の価値観や
生き方を表現する仕事
Yuki Watanabe
あなたにとって、VCの仕事とはどういう仕事ですか?

自分の仕事を説明するときは、「富を生み出したり、産業を創ったりということを、経営面及び金融面から支援する、ユニークな仕事」と伝えるようにしています。

 

別の言い方をすると、自分の価値観や生き方を表現できる仕事だとも思っています。なぜならば、個人の好き嫌いがある意味まかり通る数少ない仕事だからです。一般的なビジネスであれば、たとえ嫌いな顧客が相手だとしても、「あなたとは取引したくありません」、「あなたには売りたくありません」」とはなかなか言えないじゃないですか。しかし、私たちの仕事では断ることができる。100人の起業家がいたら、99人はお断りする。そして100人のうちの1人にだけ投資をする。これが私たちの仕事です。

 

好き嫌いが通用するというか、好き嫌いをハッキリさせないと仕事にならないというか。そういう意味で、100人とか200人の起業家とお会いしてその中から投資先を選ぶというのは、自分の価値観や、自分の生き方を表現するひとつの手段なのだと思っています。

また、VCをしていて感じているのは、「仕事を通じて仲間づくりをしているな」ということです。仲間というのは、起業家だったり、共同投資家だったりするわけですが、仕事を通じてリスクとリターンを共有することで本当に深い仲になります。いまの仲間とは、仮に仕事や会社が変わったとしても、これからもずっと付き合っていくんだろうな、と。そういう関係性がつくれる仕事って、なかなか多くはないと思っています。

 

そして、非常に農耕的な仕事だと言えます。じっくりと時間をかけて積み上げていくアセットビジネスであり、狩猟型や刈り取り型ではなく、超農耕的な仕事です。VCの仕事の特徴のひとつとして、これからVCのキャリアを考えている方には、知っておいていただきたいところですね。

その中でGCPは何が他社と違うのだと思いますか?

個人的には、3つの違いがあると考えています。

ひとつ目は、投資家からお預かりするお金の性質が違います。日本では本当に数が少ないのですが、機関投資家の方々を中心にファンドレイジングをしています。これは、私たちに対するファイナンシャルリターンの期待値が非常に高いということです。機関投資家のみなさんは、運用が本業なので、保有しているお金を少しでも増やすということに集中しているというのがポイントになります。つまり、機関投資家からお金をお預かりするということは、純粋なファイナンシャルリターンを期待されているということです。一方、他のVCの場合は、事業会社からお金を集めているケースが多いです。事業会社の場合は、純粋なファイナンシャルリターンだけを求めているのではなく、スタートアップの情報やネットワークが欲しかったりするケースが多く、お金を預かる側に期待されることも多少変わってきます。よって、お預かりするお金の性質や期待される役割が異なるというのは、大きな違いだと思っています。

 

次に、投資するかしないかを検討するデューデリジェンスのプロセスに違いがあると思います。一般的なデューデリジェンスは、起業家がまとめた事業計画を文字通り「審査する」プロセスとなるのですが、私たちにとっては起業家と一緒に事業計画を磨き、練り上げていくプロセスになります。起業家との最初の共同作業という位置づけで、より良い成長戦略・競争戦略になるように、そして事業として勝つ確率が高まるように、事業計画を一緒にブラッシュアップしていきます。このアプローチはVCの中でもユニークだと思いますね。

 

最後の違いとしては、組織についての考え方でしょうか。VCは、良くも悪くも個人事業主の集まりのような組織になりがちです。また、CVCであれば、逆にベンチャーキャピタリスト個人を目立たせるのではなく、組織でアプローチしていくスタイルになりがちです。つまり、「個」か「組織」のいずれかに振れることがほとんどです。

 

私たちの場合は、個も組織もどちらもバランス感を持って重視しているというのが特徴だと思います。個人としての発信力やプレゼンスを高めることは、社内ではとても重視されます。一方、どれほど個人で高いパフォーマンスを出していたとしても、その人に組織貢献の意識がなければGCPでは評価をされません。個人と組織のバランスをうまく取ることにチャレンジしている珍しいVCだと思います。

 

ベンチャーキャピタリスト教育についても独自のカルチャーを持っていて、ゆるい徒弟制度を導入しています。新人は先輩キャピタリストについて、だいたい2年とか3年、徒弟のように一緒に動くというプロセスを経ます。特定の誰か、と固定をするわけではなく、いろんな先輩についていき、その人の仕事をそばで見て、技を盗み、「自分に合う」と思えた部分は真似をして取り入れていく。このプロセスを繰り返して、自分なりのベンチャーキャピタリストの型をつくっていくというやり方ですね。

仕事のやり甲斐や厳しさについて教えてください。

仕事のやり甲斐やおもしろい部分で言うと、個人の意思で、大きなチャレンジができ、リスクを取れるということです。私たちの場合、ワンショットの投資金額は数億円になります。世の中にはいろんな仕事がありますが、一個人の意思で、数億円を動かせる仕事って、そんなにないと思うんですよ。もちろん、投資委員会の意志決定が必要ですし、ひとつひとつの意志決定に覚悟を求められますが、個人の価値観や生き方を表現する過程において、数億円を使ったチャレンジができるというのは大きなやり甲斐だと思っています。

 

あとは、非常に多様且つレアな企業経営に関わる経験が積めるというのもこの仕事の魅力だと思いますね。基本的に、スタートアップは山あり谷ありです。計画取りに物事が進んでいくということは、ほぼありません。そして、想定通りにうまくいかないその過程こそが、ベンチャーキャピタリストにとってひとつの報酬だと考えています。

たとえば、野球を例に出すとすると、学生時代に思い切り野球をがんばったとしましょう。月日がたつと、厳しかった練習もいまとなっては良い思い出だというのってよくある話じゃないですか。この仕事にも同じことが言えるんですね。ろくに練習せず、甲子園に出場してもおもしろくない。苦労があって、それを乗り越えてやって甲子園に行く。だからこそ、しんどかった練習の過程が自分のなかで価値あるものに昇華するというか。これと同じことが、この仕事にもあるのだと思うんですよね。

 

厳しさについては、残酷なまでに明確に結果が出るということでしょうか。投資をして数年後には、当時の判断が正しかったのか間違っていたのかが、明確に数字で出てきます。それが、結構えげつない差になって出ることがあるんです。たとえば、数十億円の利益を生んだ人と数十億円の損を出している人が席を並べて仕事している、という現象が容易に起こり得ます。同じ職種で毎日同じように働いていて、それだけの差が出る。しかも、個人のパフォーマンスにおいて。そういう仕事って多くないですし、この仕事特有の厳しいところだと思いますね。

今後ご自身としてどのようなバリューを発揮していきたいですか?

GCPに対しては、組織に対して揺らぎを与える存在でありたいと考えています。他のベンチャーキャピタルも経験しているのは、実は現時点では私だけなんです。そのため、過去の知見や経験を活かして、組織をより強くするために気づきや学びといった揺らぎを与える存在でありたいと思っています。GCPでは当たり前のことでも、実は業界的には当たり前ではないこともあるはずです。外を知る人間として、そういったことをちゃんとみんなに伝えていきたい。ときにはブレーキだったり、ときにはチャレンジだったりすると思いますが、GCPがいま以上に良いVCになるように、自分発信で組織に対して良い揺らぎを起こしていきたいと思っています。

 

産業に対して発揮していきたいバリューとしては、投資においてしっかりと狙ってホームランを打つということです。いろんな産業セクターがあるなかで、それぞれのセクターを背負って立つような企業、各産業の核となる企業を生み出していく必要があると考えています。これが私の言うホームランです。

 

というのも、それぞれの産業ごとにエコサイクルをまわす上で、M&Aの数をもっと増やす必要があります。起業家の数もいまよりも増やさなくちゃいけない。幹になる企業があると、サイクルがまわり出します。競争力が高く収益力の高い企業が産業セクターの中心にいれば、他の会社を買うこともできるし、起業家の卵も生まれやすくなり、起業する人も増えるはず。つまり、エコサイクルがまわりやすくなるはずなんです。

 

たとえばアメリカを見てみると、GoogleやAmazonがどんどん他の企業を買収して飲み込んでいき、新しい起業家を次々と生み出していますよね。あれだけダイナミックなサイクルを日本で生み出すのはかなりの難易度だと思いますが、産業セクターごとに細かく切って、まずはセクターの核になる企業をつくるというプロセスを考えたときには、いまよりも良いサイクルを作り出すことができるのではないか。そういう仮説は、自分の中にありますね。

 

セクターの中心を担う核になる企業を生み出す過程において、自分がしっかりと関わっていけるようになりたいと思っています。そういう意味で、しっかりとホームランを狙っていかないとダメだな、と。サービスや技術、プロダクトのエッヂを尖らせて、特定のドメインにおいてちゃんと勝ち切ることができる。そしてゆくゆくはその産業の中心を担い、エコサイクルを牽引する存在になっている。そういう企業を、狙いを持って生み出していきたいですね。

VCを組織でやる意味はどこにあるでしょうか?

これはいくつかあると思っています。まずは、組織でやることによって、より多くのお金を集めることができる。つまり、より大きなインパクトを出せるということです。組織でやることでファンドサイズが大きくなり、インパクトのより大きな投資ができるようになると考えています。

 

次に、個人の成長や組織のパフォーマンスにプラスの効果が出ること。いろんなタイプのメンバーがいて組織に多様性があることで、個人としては学びがあったり、刺激があったりしますよね。多面的、複層的な議論ができるようになり、意思決定の質も高まるはずです。実績や信頼が重視される業界ですから、質の高い意思決定ができる環境は非常に重要だと思いますね。

最後は、再現性のあるファームをつくることにチャレンジできるということです。「自分で独立してひとりでやります」だと再現性のあるVCファームをつくるのは難しいと思うんです。投資も採用も育成もひとりでやるというのは、限界がありますから。この業界に対してしっかりとしたプレゼンスを発揮して、勝ち方の確立された再現性の高いVCファームをつくろうとすると、やっぱり組織でやることの意味が大きいのではないかと思います。

 

会社ごとに組織に対する考え方がありますが、GCPはみんなでやっていくという文化なんです。採用の段階ですでに違うと思います。GCPの場合は、採用時点において組織アプローチで物事を考えられる人じゃないと決して採用しません。たとえ個人の能力がどれだけ高かったとしても、「一匹狼でずっとやっていきたいです」という人は採用しないんです。

 

組織の中に流れるカルチャーと制度の部分とが、理想の状態を目指して設計されています。理想論といえば、理想論なのですが、自分たちが描くあるべき状態を実現するためにチャレンジしているわけです。完璧にできているかと問われると、必ずしもそうではないと思います。ただ、全員があるべき状態を本気で目指している感じは、いつも実感していますね。

どんな人にJoinしてもらいたいですか?

まずは胆力というか、やり切る力を持っている人です。スタートアップの成長を支援するという仕事は、酸いも甘いも含めて本当にいろいろなことが起きます。そのため、最後までやり切ることができないと、途中ですぐに離脱してします。ひとつの案件に投資をして、結果が出るまでには5年から7年ほどかかります。自分の判断が正しかったのかがわかるまでに、相当な時間がかかるんです。好き嫌いがまかり通る仕事だとお伝えしましたが、自分が心から好きになった起業家であれば、長い時間でも一緒に添い遂げることができます。自分の好き嫌いの軸を信じて、信じる起業家に対しては最後まで支援していく。このスタンスが欠かせないですね。

 

次に、この仕事に対して大義名分がある人。「なぜこの仕事をしたいのですか」という問いに対して、強い意志がある人ですね。精神的にも肉体的にも負荷がかかる仕事ですから、その人なりの大義名分がないとすぐに心が折れてしまうことも考えられます。折れない強い軸が必要です。

 

あとは、分別があることでしょうか。物事の善悪を正しく判断できるというか、自分なりの倫理観をちゃんと持っているというか。なぜなら、この仕事は単独で動くことが多いからです。そのため、自分の中のあるべき姿や組織で目指している理想の状態に対して、いまの自分は正しいアクションが取れているかということを常にセルフチェックすることが大切です。自分で自分を正しく律することができる人じゃないと、同じ組織で働く者としては信用ができませんから。

 

最後に、既存のフレームワークや慣習にとらわれることなく、ゼロベースであるべき姿を追求できる人。自分なりの型を持つことは非常に大切ですし、私たちの会社の中にもこれまでに積み重ねてきたナレッジや文化があります。ただし、時代が変わればアプローチの仕方が変わってしかるべきですし、世の中は常に動いているのでこれまでのベストプラクティスが通用しないケースというのも出てくるはず。そのため、勇気を持ってこれまでの成功パターンを壊し、その都度あるべき状態を描き直すことができる。そういう人と一緒に仕事ができたら刺激的でおもしろいだろうな、と思いますね。

 

情報の処理能力だったり、業界や技術について豊富な知識があることだったり、地頭的なところも非常に求められる仕事ですし、スキルや知識は持っているに越したことはないのですが、突き詰めて考えていくと、こういったマインドやスタンスが何よりも大切なのだと思いますね。

 

個人的には、富を生み出し、産業を創ることで、日本の国力を上げていきたいという想いがあります。そのためには、競争力の高い企業を生み出し、質の高い雇用をたくさんつくりだすことで、生産性を高めていく必要があると考えています。その実現のためには何をするべきか。ここに課題感を持って、仕事に取り組める。そんな人と一緒に働くことができたら、楽しいですね。

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